ホール落語の中でも非常に評価の高かった東横落語会。昭和の大名人揃いの顔ぶれを見るにつけ、その充実ぶりに武者震いする平成の落語愛好家に朗報。この伝説的な会の貴重な音源を収録したLP、『落語十二景』(77年発売)の初CD化音源に加えて、〈NHK〉の映像をDVDでコンパイルしたお得なシリーズが発売された。
小さんの「青菜」、「あくび指南」が収録されたCD、音声だけでもあのやわらかくって愛くるしい様子が目に浮かぶ好演。DVDでは「らくだ」、「猫久」では愛嬌たっぷりの高座姿が更に嬉しい。噺家にゴールデン・プロポーションというのがあるのなら、こんな姿なのでは?(笑)。
噺家によく形態模写され特に『笑点』黄色の着物によるモノマネでもお馴染み・正蔵の音源と映像は、ともにかなり高齢時の収録ということもあり、その強烈にヴィブラートの効いた語り様は平成デビューの落語ファンにとっては未知との遭遇。また現在の噺家があまりかけない「粟田口(一)・佐賀町河岸」、「粟田口(三)・丈助の最後」CDでは、圓朝作品の込み入った世界の描写がとても丹念でドラマティック。「藁人形」DVDでは、怪談的要素も濃厚に盛り上げつつ人情噺の後味に。足元もおぼつかなくなってからの高座で枯れた芸風を楽しむだけではなく、むしろ怪奇性などには凄みを増しているような現役感に感服する。
『THEシリーズ』、今後続々の充実リリースを願って止みません!(増井志乃)
2010.12.15.update

