柔軟な発想で新作落語を創作することを目的として旗揚げされた、創作話芸アソシエーション、SWA。春風亭昇太を筆頭に、柳家喬太郎、林家彦いち、三遊亭白鳥と四者四様の個性が持ち味のメンバーによる意欲的な活動の記録、今回は「もし古典落語の名作にその後のストーリーがあったら…?」というテーマで新たな展開を生みだすという実験的な趣向の会。元々が昇太師匠企画の『下北沢演芸祭』のプログラムのひとつとして極小キャパの会場でのお披露目だっただけに、〈本多劇場〉での更にブラッシュ・アップされた再演をこうして観られるとは嬉しいDVD化。
某有名落語研究番組の真面目な解説ぶりを模した昇太・喬太郎両氏が、冒頭と後半二席の前に登場し面白くも真面目に解説。
演目は、ただ1人、今回の趣旨を無視して古典落語を改作だけしてきた白鳥「かわうそ島の花嫁さん」でスタート。江戸っ子のトントントーンとした立て板に水の啖呵が魅力の古典「大工調べ」を、啖呵の言い立てという一点だけにおいて改作?して白鳥らしいナンセンス&メルヘン・ワールドに。
続く喬太郎、マヌケな三人組の他愛のない失敗談「松竹梅」という滑稽噺のその後を、1人が失踪するというミステリー仕立ての「本当は怖い松竹梅-松竹梅のその後—」に練り上げてきた。驚きの展開とちょっと怖い味付けがこの人ならでは。
彦いち「厩大火事—厩火事その後—」。「厩火事」ではかわいい嘘で妻に騙された亭主だが、妻に浅知恵を授けた旦那に腹いせのパワー・アップ・リヴェンジ劇。
トリは昇太、お調子者で欲っかきの幇間が滑稽なドタバタ噺「愛宕山」のその後を、人間味溢れる幇間もちの面白悲しいサガを絶妙なファンタジー「本当に怖い愛宕山-愛宕山その後-」にトランスフォームさせた。とても人に合ったかわいらしいアレンジは、オリジナル作品としての完成度をしっかり湛えた素敵な逸品。
先日の〈本多劇場〉SWA公演の最終日に、年内で活動休止に入るとの発表のあったSWA。この顔ぶれで生まれるケミストリーを観られるのもあと僅か、DVDで反芻出来ることの有難味は今後より増すだろう。(増井志乃)
2011.3.09.update

