現在殆ど演じ手のいない『猫定』をじっくり一本聴かせる本作。
助けた猫が賽の目を当ててくれたおかげで儲けた定吉、妻と共謀した男に殺されるが猫が黙っちゃいなかった…!? スプラッターな描写、サスペンスの味わい、忠猫の美談、とめまぐるしくムードの変化する不思議な持ち味の作品。十八番とされていた圓生版では更に怪談風の 味付けを盛って演じられていたものの、さん喬はそうした過剰さを省いて上品に仕上げた。ビザールなイメージのあった『猫定』も、さん喬の品性のフィルター をかけるとハチ公のように懐こく受け入れ易い噺となる。(増井志乃)
2011.6.22.update

