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サシャ・バロン・コーエンが、果敢にもまた自己ベストを更新してしまった。過去の作品をご覧の皆さんはお察しの通り、更新したのは広義に渡っての「ヤバ度」である。
「アリG」で黒人気取りの白人ラッパーを馬鹿にし倒したのが今となっては可愛いかったとすら思う程に、「ボラット」ではアメリカの善人像をおちょくり&逆撫でしまくって数々の訴訟沙汰に。そして二匹目のドジョウすら寄りつかぬまま、本作で更なるデンジャラス・ゾーンに踏み入った。
今回の彼は「オーストリアのゲイのファッション・レポーター」という設定。本国で業界締め出しの憂き目に会い(自業自得)、見返す為に絶対にハリウッド・セレブになると決意、セレブへの近道と信じる術に次々アタック。それらどの現場においても、ドキュメンタリー的ハラハラ度満点のミラクル映像は、「撮ったら逃げる」撮影クルーの逃げ足の速さによる貴重な賜物。硬軟交えて目を疑うような「まさか!」の現場に続々と繰り出す雄姿は、大袈裟でなく命知らずレヴェルにスケール・アップ。
最高レヴェルの非常識の数々が、常識的な人々の案外コワい反応を炙り出すというひねくれた笑いの感覚は、今や彼の独占市場。偽悪ともとれる数々の悪趣味なパフォーマンスも、並はずれたインテリジェンスによる計算ずくの知能犯。ドギツいユーモアに理解を示すシャレの通じる姿勢こそオオモノの証とばかりに、セレブ心をくすぐる装置としても見事機能させる確信犯ぶりは天晴れだ。(増井志乃)
2010.3.02.update

