やわらかい声に品の良い語り口、シュッとした姿の良さが古典噺にピッタリくる扇遊。本作では「厩火事」「たちきり」と、男と女の綾を主に女性に重心を置いて描かれた対照的な2作品を収録。
軽妙洒脱なシニカル・コメディの味わいが魅力的な「厩火事」、亭主の気持ちを確かめたくてヤキモキ&ドタバタする姉さん女房をいじらしくチャー ミングに聴かせる。噺し手によりサゲの印象が大きく異なるところもこの噺の魅力。こんな風に女房がかわいらしく描かれると、最後の亭主のセリフはきっと照 れ隠しなのでは?と思えて楽しい。
うってかわって「たちきり」では、事情が許さず会えぬ若旦那に焦がれ死にする一途な芸妓。現代っ子には若旦那の至らなさも芸妓の在り様にも感情移入する のは困難ではあるけれど、幽玄の味わい美しき粋な演出で聴かせる名作。サゲについて、今の聴き手には説明が必要と多くの噺家がマクラでさりげなく補足する が、切なくも凛とした芸妓のサガがさらりと歯切れ良いサゲに大きな余韻を残す、しなやかな好演。(増井志乃)
2011.5.18.update

