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愛する息子を事故で失った夫婦。 深い悲しみと自責の念からしだいに神経を病んでいく妻。セラピストの夫はそんな妻を森の中の山小屋に連れて行き治療しようと試みるが、濃密な自然によって 日常と隔離されたその場所で、妻の悪化は加速する。夫婦が肉体と精神の限界を超えて辿りつく境地とは……。
うつ病のリハビリにこの脚本を書いたという監督、それはセラピーのような作業だったという。禍々しく、神々しい程に美しい、類い稀なるヴィジュアルを見る につけ、自らの越えてしまった正常な精神の向こう側で監督はどんなものを見てきたのだろう、と思いをはせる。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』、『ドッグ ヴィル』、『キングダム』などでも垣間見せた暗い世界は、それらの種子だったのだろうか……。
シャルロット・ゲンズブール演じる妻がおぞましい行為に及ぶ様は、「弱々しく同情を誘う悲劇の女」と「狂った女」との境目が曖昧で、心底観る者を震え上が らせる。狂気に至っても低体温のまま、とでも言おうか。斬新で強烈な狂女像に、シャルロット・ゲンズブールの女優魂を確信。
R18+という映倫指定の底力を再認識させられる限界映像、あの'なまいき'でかわいかったシャルロットが永遠のアイドル、ならばあなたは観てはいけない。あの頃の彼女を思い出せなくなる程の残像感にうなされることになりそう……。(増井志乃)
2011.2.14.update

