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2022 APRIL

MUSIC 『BIG WORLD』MONDO GROSSO

MUSIC 『BIG WORLD』MONDO GROSSO

 30周年ベスト・アルバムから間髪入れずにニュー・アルバムを発表するところに、常に今に生きる大沢伸一の姿勢が一目瞭然。ヴォーカル・満島ひかりに、ピアノ・坂本龍一という組み合わせに真髄が。田島貴男(Original Love)、中納良恵(EGO-WRAPPIN’)から、新世代まで、総勢11人の個的なヴォーカリストが並ぶが、モンド・グロッソという世界に集約されているところがさすが。(山崎)

『BIG WORLD』
MONDO GROSSO
発売中〈A.S.A.B〉

MOVIE 『355』

MOVIE 『355』

 主演のジェシカ・チャステインが「『007』シリーズのようなスパイ・アクションをオール女性キャストで作りたい」と発案し、本作は動き出した。ボンドに劣らず各国の女性エージェントが事件に挑み、ノンストップで駆け回る展開はスリルと迫力満点。355とは、諜報のプロとして人知れず働く女性たちのコードネーム。特に母として家族を守るため戦うペネロペ・クルスの母性が凄まじくて惚れた。(岡田)

『355』
監督/サイモン・キンバーグ 
出演/ジェシカ・チャステイン、ルピタ・ニョンゴ、ダイアン・クルーガー、ペネロペ・クルス、ファン・ビンビン、他
全国公開中
©2020 UNIVERSAL STUDIOS. ©355 Film Rights, LLC 2021 All rights re-served.

MOVIE 『ウエスト・サイド・ストーリー』

MOVIE 『ウエスト・サイド・ストーリー』

 ミュージカル映画の金字塔が誕生。スピルバーグ監督をして「私のキャリアの集大成」と語るのも頷ける本作は、「ロミオとジュリエット」をモチーフにしつつも、人種間で対立する若者の焦燥や渇望、今を生きる命の輝きがダンス・シーンで見事に表現されている。数々の名曲はもちろん、光と影のコントラストを捉えた映像美(圧巻のライティング技術)など、細部に渡って完璧な仕上がり。(堂前)

『ウエスト・サイド・ストーリー』
監督/スティーブン・スピルバーグ 出演/アンセル・エルゴート、レイチェル・ゼグラー、アリアナ・デボーズ、マイク・ファイスト、デヴィッド・アルヴァレス、リタ・モレノ、他 
全国公開中
©2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

MOVIE 『クラム』

MOVIE 『クラム』

 アングラ・コミックスの雄、ロバート・クラムのドキュメンタリーが25年ぶりに公開。オタクとして育ったクラム3兄弟(妹は撮影拒否)の静かな狂気はまさに「事実は小説より奇なり」、異形の想像力だけで作品が創られたわけではない、根深いバックボーンが映し出される。クラムの女性への敵意と恐怖、剥き出しにされたソーシャル・ポートレートの数々は、「何と最低に輝いているんだろう」。(堂前)

『クラム』
監督/テリー・ツワイゴフ 
出演/ロバート・クラム、チャールズ・クラム、マクソン・クラム、他 
2月18日より〈新宿シネマカリテ〉他、全国公開
©1994 Crumb PartnersⅠALL RIGHTS RESERVED

MOVIE 『選ばなかったみち』

MOVIE 『選ばなかったみち』

 認知症を患った父(バルデム)と彼を献身的に支える娘(ファニング)のある1日を描く。過去の記憶の断片が現実を覆っているため意識が常に混濁し、「ここにいるのにここにはいない」父を理解できない苦しみ、介護と仕事の両立の困難がありながらも、他人に迷惑をかけた父を庇う際、「ボケているから」、「痴呆症で」などとは言わず、「confused」という言葉を使っていた娘の一言が印象に残る。(堂前)

『選ばなかったみち』
監督・脚本/サリー・ポッター 
出演/ハビエル・バルデム、エル・ファニング、ローラ・リニー、サルマ・ハエック、他
2月25日より〈ヒューマントラストシネマ有楽町〉他、全国公開
© BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND THE BRITISH FILM INSTITUTE AND AP (MOLLY) LTD. 2020

MOVIE 『金の糸』

MOVIE 『金の糸』

 過去は重荷か財産か? 79歳の誕生日を迎えたエレネは失われた時を求めて、様々な視点から自身の“今”を見つめ直す。「生きたいなら過去に囚われても過去を壊してもいけない。金の糸で繋ぎ合わせるのよ」、「過去を乗り越えたならあとは未来を楽しむだけ」。人生の終盤だからこそ湧き上がる、肯定感に溢れた至言の数々が映画を彩る。ジョージアを代表するゴゴベリゼ、27年ぶり91歳での新作。(堂前)

『金の糸』
監督・脚本/ラナ・ゴゴベリゼ 
出演/ナナ・ジョルジャジェ、グランダ・ガブニア、ズラ・キプシゼ、マリタ・ベリゼ、他
2月26日より〈岩波ホール〉他、全国公開
©3003 film production, 2019

DRAMA 『#居酒屋新幹線』

DRAMA 『#居酒屋新幹線』

 日帰りの地方出張の帰途、その居酒屋は開店する。損保会社の内部監査室で働く高宮 進(眞島秀和)の密かな楽しみとなっている宴に並ぶのは、限られた時間で街を巡り手に入れた絶品の地元グルメや地酒(新幹線の乗車時間も考慮した構成や、グラス、カトラリー持参のこだわりぶり)。仕事モードから一変して、多幸感いっぱいに口に頬張る進の姿や感情豊かなモノローグのギャップも最高だ。(多田)

『#居酒屋新幹線』
毎週土曜19時30分より〈チャンネル銀河〉にて放送中
※3話連続放送
©「#居酒屋新幹線」製作委員会・MBS

BOOK 『米澤屋書店』米澤穂信

BOOK 『米澤屋書店』米澤穂信

 人が楽しそうに自分の好きなものを語る様を見ている時ほどワクワクさせられるものはない。デビュー20周年を迎えたミステリ作家・米澤穂信がお勧め本を紹介するこのエッセイは、まるで宝箱のようで、読み進めていると目をキラキラと輝かせる米澤の顔が浮かぶ。名作ミステリのみならず古典や洋書までが四方八方から繰り出される彼の語りは流石の一言。ウィットに富んだ著者注釈も楽しい。(賀国)

『米澤屋書店』
米澤穂信
発売中〈文藝春秋BOOKS〉

BOOK 『残像に口紅を』筒井康隆

BOOK 『残像に口紅を』筒井康隆

 章が進むにつれ、文字が消えていく。「あ」が消えると、「愛」も「あなた」も、概念そのものが世界から失われる。そんな実験的な題材であるが、文字が1つ消えるだけでえも言えぬ喪失感が心に駸々と積もる。「ふ」が消えた時の絶望は特に凄まじかった。物語後半は衝撃で視界が暗転したほど。1989年に発表された本作が昨年『TikTok』ユーザーによって再ブレイクし大増刷されたことにも注目。(賀国)

『残像に口紅を』
筒井康隆
発売中〈中公文庫〉