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BOOK

『八日目の蝉』角田光代/発売中〈中央公論新社〉

 ある作品を通らないままで人生を送るのと、通って人生を送るのとでは、微妙に世界の見え方が違ってくる作品が、世の中にはある。この作品は、まさに、読む前と読んだ後とでは、日々送る景色が違って見えてくる。
 ストーリーは2つに別れていて、前半では、不倫相手の女の子の赤ん坊を誘拐した女が、逃亡しながらも必死でその赤ん坊を育てていく話と、後半では、その赤ん坊が大学生になってから、誘拐された側の視点で描いていく。
 女性ならではの瑞々しい感性の心理描写から、物語の風景が鮮明に見え、なぜだか犯罪者側の立場に引き込まれてしまう。こんなに心を揺さぶられたのは、久しぶりだった。(古宮亜由美)


2009.10.02.update

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