クララ・シューマンと言えば、夫であるロベルト・シューマンと、14歳年下のヨハネス・ブラームスという2人の天才作曲家に愛された女性であり、7人の子の母親であり、自身もピアニスト/作曲家としても活躍していた、とされる。一体どんな魅力に溢れた人であったのだろう? そんな疑問を紐解くようなのが、本作である。
とはいえ、もちろん軸は謎解きでもなく、歴史/音楽映画に偏ることもなく、非常に優れた恋愛映画、とも受け取れる。それは、例えばブラームスのクララへの情愛、敬愛——それは生涯貫かれることとなるのだが——が、協奏曲のように全編で響き渡っているから。「僕は君とは寝ないよ。それでも、君をこの腕でずっと抱き続ける」とクララへ誓ったブラームスの深い愛は、“プラトニック・ラヴ”なんてお手軽な形容で表現し切れるものではなかったはずである、と想像する。と同時に、夫シューマンの存在感。派手な映画が多い中、このような作品に身を任せてみるのも、いいかもしれない。(堂前 茜)
2009.7.11.update




